邂逅

邂逅

作:モウヤメルンダッ!!/アスラン・ヅラの人

黒服「・・・・・驚きました。まさか『生徒』であるはずのあなたが、私たちに自ら接触してくるとは。それも先生の介入なしに。」

黒いスーツを着こなした不気味な何かは、目の前に相対する、同じく黒いスーツを着た生徒を見る。その目?はどんな感情を抱くのだろう。

黒服「・・・さて、自己紹介でもしましょう。私には特に決められた名前はありませんが、人は私を『ゲマトリアの黒服』と呼びます。ゲマトリアは厳密には解散しましたが、再建したのでまあゲマトリアと名乗っても問題ない。専攻はデカグラマトン・・・神を自認する人工知能ですね。」

リオの次元に合わせて聞こえるように調整された黒服の声は、それでもどこか不気味だ。

リオ「・・・調月リオ。ミレニアムサイエンススクールのセミナー代表よ。専攻は・・・ロボット工学ね。」

黒服「なるほど。名もなき神々の王女の危険性にいち早く気がつき、排除を試みたあなたはやはり『その分野』に精通していましたか。クックックッ・・・・」

少し嬉しそうに笑う。

黒服「さて、あなたは何か目的をもって私達に接触したと考えますが、それを聞かせていただいてもよろしいでしょうか?」

本題に入った。

リオ「・・・教えて欲しいの。『砂糖』が何たるかを」

黒服は右手をぐるぐる回したり奇怪な行動をした後に回答する。

黒服「・・・残念ながら今のゲマトリアにはこの砂糖どころか、化学の分野を専攻とする者がいませんので詳しいことまでは答えられません。ですが、私が知る情報をお伝えいたしましょう。」

クックッと笑ったのち、話し始める。

黒服「『砂糖』はアビドス砂漠に存在する砂を火で一定時間炙ると生成します。服用すると一時的に・・・具体的にはおよそ2時間の間多幸感を得ますが、非常に中毒性が強く、効果が切れると再度服用するまでの間感情に異変が起こります。ほとんどのケースでは攻撃的になるようですね。あ、このデータは中毒に陥った生徒を追跡して得たものです。決して生徒で試していませんので悪しからず。」

先生を怒らせたケースを思い出して、黒服は予防線を張っておく。

リオ「・・・やはり砂糖には高い中毒性が。」

黒服「ええそうです。ですがこれが『無名の司祭』由来なのか、色彩由来なのか、はたまた私たちよりさらに昔のゲマトリア由来なのかは全くわかりません。またもう一つ気になる現象を確認したのですが、これはまだ確証が得られておらずお伝えできるものではありません。・・・さて、あなたはおそらく、この砂糖の情報を知った上で、それに対処したいから私を訪れた。そうでしょう?」

図星を突かれ、リオは表情を固くするが首肯した。

黒服「・・・クックックッ。実は我々も、アレに対処しなければならないと考えており、あなたのように接触してくる人を待っていました。砂糖の拡大は私達の研究内容に悪影響を及ぼす可能性がありますからね。」

現に、この砂糖を快く思っていないのは、リオ達三大校だけではない。百鬼夜行もゲヘナと組んで対応にあたり出したし、もはや学園ですらないカイザーやネフティスまで、利益を守るべくアビドスに戦いを仕掛けようとしている。

リオ「・・・そう。そして私はそのための武器が欲しい。」

きっぱりと言い切るリオを見て静かに笑う黒服。

そして途端に、不気味な音を連続して立て始めた。

とはいえこういうのに慣れているリオは動じない。

やがて音が止み、黒服は再び話し出す。

黒服「・・・マエストロ、並びにフランシスから返答がありました。まずは友好の印としてマエストロの作品のうちランダムで1つを差し上げます。その上で、どうやらちょうどお二方も欲しいものがあったそうで。それを所望しています。それを我々にくだされば、広域仕様ヘイロー破壊爆弾と、それに対応した弾道ミサイル。無名の司祭由来の『特別爆弾』、並びにそれに対応した巡航ミサイル。名もなき神々の王女のミメシス。いずれか希望するものを差し上げます。いわば取引ですね。」

リオ「・・・・乗ったわ。」

即答。

黒服「そうですか。ありがとうございます。では、我々が所望するものを。・・・我々が所望するものはすなわち、結晶です。」 

リオ「結晶?」

黒服「ええ。結晶。とても大きな砂糖の結晶。それを、まだ我々は見ていない。我々はそれを解析したいのです。もうひとつの事象を解析する鍵になりえますから。」

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あとがき

理系世界では専攻は割と大切なので挨拶と共に専攻も名乗りましたね。

ゲマトリアは高次存在であるはずなのでたぶんゲマトリア同士の会話は生徒達には理解できぬ。になるでしょう。

案砂糖だと多分このイベント1月1日に確定で起こります。多分AI操作時のリオは取引に応じますね。AIプレイだと取引完了は1月4日。シロコ脱走イベが12月31日に起こり、そこで先生が事態を知るとなるとそこまで時間はありません。

ちなみにこの世界のリオ会長はミレニアム陥落直前にこれらのうちもらったものを設計図にしマコトに託すという英雄ムーブをしています。

つまり取引に成功した。

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